無線呼出しサービス(通称「ポケットベル」、以下「ポケベル」という)は、日本では1968年7月、日本電信電話公社によって東京23区内で開始された。ポケベルは、当初は、「ビー」「ピッピッ」など呼び出し音の通知という機能しかなかったが、その後の機能発展とともに、携帯電話が本格的に普及する以前、外出中の人に連絡をする代表的な移動通信サービスの一つとして普及した。
ポケベルは、受信専用の小型携帯端末であり、各契約には呼び出しのための電話番号が割り当てられていた。発信者がその番号に電話すると、呼出情報が電話網内のサービスセンターから無線基地局へ送られ、基地局から電波で対象端末に送信された。端末は、自機に割り当てられた呼出信号を受信すると、「ビー」「ピッピッ」などの音を鳴らして着信を知らせた。
携帯電話以前の移動通信サービスとしては1979年に始まった自動車電話もある。自動車電話は、ポケベルとは異なり、双方向の音声通話が可能であった。しかし自動車電話は、端末が大型で、加入費用や利用料金も高額であったため、当初の利用者は限られていた。これに対して、ポケベルは受信専用で機能も限定されていたが、利用料金が比較的安く、端末も小型・軽量だったため、契約数を着実に伸ばした。
1987年10月には、電電公社とその後身のNTTが独占的に提供していた無線呼出し市場にテレメッセージ各社が参入した。
ポケットベル契約数の歴史的推移1969-2007
1987年10月には、電電公社とその後身のNTTが独占的に提供していた無線呼出し市場にテレメッセージ各社が参入した。また同時期に、発信者が入力した数字を表示できる端末が登場した。その後、アルファベットやカタカナ、漢字を含む定型文や自由文を表示できる端末も発売され、ポケベルは単なる呼出手段から、簡単なメッセージを受信する手段へと発展した。
新規事業者の参入による競争の活発化や、数字、カタカナ、アルファベットなどを表示できる端末の登場が、利用の拡大を後押しした。ポケベルは1990年代には若年層にも広く普及した。契約数は1986年3月末の249万件から10年後の1996年3月末には1061万件へと4倍を超えるまでに増大し、同年中には1078万件のピークを記録した。しかしその後は、携帯電話やPHSの急速な普及に伴い、契約数が急減し、2001年3月末には144万台に落ち込んだ。その後も減少が続き、NTTドコモは2007年にサービス提供を終了した。
ポケットベル契約数の歴史的推移(NTT、その他)1969-2007
| 契約数 | NTT | 新規参入事業者 | |
| 1969 | 1.4 | ||
| 1970 | 4.6 | ||
| 1971 | 10.7 | ||
| 1972 | 17.7 | ||
| 1973 | 29 | ||
| 1974 | 40 | ||
| 1975 | 52 | ||
| 1976 | 64 | ||
| 1977 | 72 | ||
| 1978 | 83 | ||
| 1979 | 95 | ||
| 1980 | 109 | ||
| 1981 | 124 | ||
| 1982 | 143 | ||
| 1983 | 165 | ||
| 1984 | 189 | ||
| 1985 | 216 | ||
| 1986 | 249 | ||
| 1987 | 296 | 274 | 22 |
| 1988 | 352 | 283 | 69 |
| 1989 | 425 | 305 | 119 |
| 1990 | 508 | 344 | 165 |
| 1991 | 591 | 386 | 205 |
| 1992 | 669 | 422 | 247 |
| 1993 | 806 | 495 | 312 |
| 1994 | 935 | 535 | 400 |
| 1995 | 1061 | 633 | 428 |
| 1996 | 1007 | 587 | 421 |
| 1997 | 712 | 391 | 321 |
| 1998 | 377 | 152 | 225 |
| 1999 | 207 | 144 | 63 |
| 2000 | 144 | 110 | 34 |
| 2001 | 114 | 83 | 31 |
| 2002 | 95 | 60 | 35 |
| 2003 | 80 | 46 | 34 |
| 2004 | 63 | 31 | 32 |
| 2005 | 50 | 29 | 21 |
| 2006 | 16 | ||
| 2007 | 16 | ||
| 2008 | 16 | ||
| 2009 | 15 | ||
| 2010 | 15 | ||
| 2011 | 15 | ||
| 2012 | 15 |
1972年度(昭和47年度)末
『通信白書』昭和48年版
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/s48/html/s48a01020101.html
1973年度(昭和48年度)末-1984年度(昭和48年度)末
『通信白書』各年版
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/
1985年度(昭和60年度)末~1998年度(平成10年度)末
『情報通信白書』平成11年版、p.134
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h11.html
NTTドコモ『有価証券報告書』第8期~第17期

