著者の当時の所属は通商産業省生活産業局。本論考において著者は、「産業技術の歴史に係る活動は,記録・保存,集大成・体系化および提示の3分野から構成される.記録・保存は,技術革新の現場に携わった人々の生きた証言を記録にとどめることであり,また,研究ノート,会議録などの資料や製品,試作品などの記念物を,生の歴史を消失しないように保存することである.産業技術の歴史に係る活動の基盤として必要欠くべからざるものである.」とするとともに、「現状において,記録・保存に関しては,生きた証言の記録は限られた例が見られるのみであり,資料,記念物も年月を経るほどに散逸,消失が進んでいる.集大成・体系化に関しては,社史,業界史などの例は多く見受けられるものの,「人間の歴史」や体系化された「技術の歴史」として取りまとめられている場合はほとんどない.また,科学技術史の研究者による活動も見られるが,戦後の産業技術の歴史に係わる研究は少ない.」としている。
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